[2024/2/17]

体調を崩したことをきっかけに、病気恐怖症になってしまった僕。病院巡りの日々が始まった。

あの頃はさ、ほんとによく病院に行ってたよ。車の免許もまだないからさ、チャリンコで。もうね、コンビニ感覚で病院行ってた。
なかでも僕のお気に入りは総合病院。オキニってやつね。総合病院は良いよ。色んな科が入ってるからね。何でも揃う。もはやデパートだよ。病院界のイオンモールだよ(笑)

ほくろを見つければ「皮膚がんじゃないか」って皮膚科。しゃっくりが止まらないからと消化器内科。リンパが腫れれば耳鼻咽喉科。それはそれは忙しかったよ。ピンクレディー並に忙しかった。

挙げ句の果てには、男性器が痛いっていうんで、泌尿器科のお世話になったこともあった。先生の前で下半身スッポンポンになりM字開脚。これでもかと触られる。その後、仰向けになり、温かいゼリーみたいなのを塗られてエコー検査。
結果はもちろん異常なし。これが伝説の「高橋、泌尿器科でM字開脚事件」ね(笑)。僕は実にマヌケな男だと思うよ。

そんなことが一年以上続いた。今となっては笑い話だけど、当時は大真面目。僕の精神は日に日に衰弱していった。
相変わらず病院巡りは続いていたけど、心のどこかで「俺は身体がおかしいのではなく、頭がおかしいのではないか」と薄々感づき始めてもいた。

そこで、救いを求め、僕は精神科を探し始めた。ここでようやくね。
んで、今だったらさ、グーグルで「精神科」とかで検索してさ、口コミとかを見て決めるんだけど、当時はそんな頭はなくて、タウンページで探して行ったんだよ。

隣町にある精神科。未だによく覚えてる。父ちゃんの運転で行ったんだよ。僕はきっと青白い顔をしてたんだろうな。苦しい。早く楽にしてほしい。誰か助けてほしい。
藁にもすがる思いで、僕は生まれて初めて精神科のドアを叩いた。17才になっていた。

次回に続く……。